みなさんは、太陽光にどのようなイメージをお持ちでしょうか。例えば、降り注ぐ紫外線(UV)により、日焼けが引き起こされるお肌の大敵というイメージでしょうか。あるいは、化石燃料に代わる再生可能エネルギーの一つとして活躍しているというイメージでしょうか。

太陽光パネルの写真

太陽光に代表される「光」はエネルギーを持っており、この光のエネルギーは波長(色)によって異なります。長い波長の光が持つエネルギーは低く、波長が短くなるほど光の持つエネルギーは高くなります。紫外線は波長が短い光であり、エネルギーが高いため、肌へのダメージを与え、日焼けが引き起こされます。

波長とエネルギー

太陽光に注目すると、下図のように、様々な波長の光が含まれており、非常に莫大なエネルギーが地球に降り注がれています。地球に降り注ぐ太陽光エネルギーのすべてを、私たちが生活していく上で必要なエネルギーに変換できるとすると、わずか1時間程度の照射で、世界の年間消費エネルギーをまかなうことができるという報告もあります。

しかしながら、太陽電池や光合成など人類に有用な材料・現象は、太陽光の中でも比較的エネルギーの高い、短い波長の光しか用いていません。太陽光の持つエネルギーを、できるだけ余すことなく有効に活用するためには、現在では利用できていない、エネルギーの低い長い波長の光を、エネルギーの高い短い波長の光に変換する技術が、大変重要となります。

アップコンバージョン

一般的に、エネルギーは高いものから低いものへと流れていきます。光の波長を変換する技術においても、エネルギーの高い短い波長の光を、エネルギーの低い長い波長の光に変えるものがほとんどで、エネルギーの低い長い波長の光を、エネルギーの高い短い波長の光に変換する技術は、これまでの常識を覆す新たな方法が必要となります。

この常識を覆すべく、現在、当センターにおいてエネルギーの低い長い波長の光をエネルギーの高い短い波長の光に変換する手法やそれを活かした材料の開発に取り組んでいます。

(Y.N)