201911_英国王立化学会誌への掲載報告HP用-003.jpg 当センターの西山靖浩副主査研究員、藤井亮副主査研究員、森一化学技術部長による論文が英国王立化学会「Reaction Chemistry & Engineering※」誌に掲載されるとともに、同誌の表紙(Inside Back Cover)に選出されました。

論文タイトル

 Selective synthesis of azoxybenzenes from nitrobenzenes by visible light irradiation under continuous flow conditions

 (マイクロリアクターと可視光を利用した、ニトロベンゼン類を原料とするアゾキシベンゼン類の選択的合成法)

論文へのリンク

  https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/re/c9re00265k#fn1

Inside Back Coverへのリンク

  https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/re/c9re90070e#!divAbstract

研究の概要

 芳香族化合物であるニトロベンゼンは、還元反応により色素等に用いられるアニリンへと変換されます。過去に、可視光照射下における金属触媒及び水素ガスを用いない、ニトロベンゼンからの高選択的なアニリンへの光還元反応が報告されていましたが、その一方で長時間の光照射が必要という欠点も報告されていました。

 西山副主査研究員らは、光反応が効率よく進むマイクロリアクターを本反応に導入したところ、アニリンではなく、液晶等に用いられるアゾキシベンゼンが非常に高選択的に得られることを見出しました。アゾキシベンゼンは、アニリンへの変換反応における中間体同士の縮合反応を経て生成することから、マイクロリアクター内での効率的な光照射により、速やかな中間体の生成と縮合反応が進行したと考えられます。

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 この手法は、高選択的な合成が困難なアゾキシベンゼンの有用な合成法として期待されます。

※「Reaction Chemistry & Engineering」:英国王立化学会が発行する論文誌で、2016年に発刊。反応の効率向上などに主眼が置かれており、マイクロリアクターに関する論文も数多く報告されている。最新(2019年)のインパクトファクターは「3.935」。

 興味をお持ちの方は、当センターの化学技術部までお問合せください。