工業技術センター(森智博主査研究員、森岳志主査研究員、藤井亮副主査研究員、斎藤茜研究員、竿本主査研究員)と国立研究開発法人産業技術総合研究所(無機機能材料研究部門 鎌田賢司上級主任研究員)による共著論文が、アメリカ化学会の「ACS Applied Polymer Materials※」に掲載されました。

論文タイトル

Effect of Crystallinity in Stretched PVA Films on Triplet−Triplet Annihilation Photon Upconversion

 延伸PVAフィルムの結晶性が三重項-三重項消滅光アップコンバージョンに与える影響

 https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsapm.0c00020

概要

工業技術センターでは、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム中に光アップコンバージョンを起こす色素を混ぜ、湿式延伸でフィルムを伸ばすことにより、空気中でも安定して光アップコンバージョン現象を起こすフィルムの開発に成功しています(特許第6429158号、Mol. Syst. Des. Eng. 2018, 3, 908−916.)。本論文では、光アップコンバージョンフィルムの感度指標となる発光量子収率やしきい値励起光強度を明らかにし、更に収率向上の指針となる発光過程のメカニズムをPVAの内部構造及び各過程の分光計測から解明しました。この技術を更に発展させることで、ペロブスカイト太陽電池、人工光合成などの太陽光変換デバイスの効率向上や偽造防止など新たな技術分野への応用が期待されます。

ACS Applied Polymer Materialsは、2019年に新しく発刊された雑誌です。近年、アメリカ化学会のAppliedシリーズの注目度は高く、数多くの論文が投稿されています。

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