この度、関東化学株式会社が刊行している化学情報誌「THE CHEMICAL TIMES(ケミカルタイムス)」に当工業技術センターがコア技術確立事業において取り組んだ研究が掲載されました。

掲載誌
THE CHEMICAL TIMES 2023 No.4 (通巻270号) ISSN 0285-2446

論文タイトル(該当ページへのリンク)
マイクロリアクターを利用したニトロベンゼンの化合物選択的光還元反応
Selective photoreduction of nitrobenzenes using microreactor

論文の概要

有機光反応は、特異的な構造を持つ化合物が得られることから、熱反応と相補的な特徴を持つ重要な反応です。しかし、フラスコ等を用いるバッチ反応では、光が溶液内部まで透過しないため、スケールアップが困難であるという問題を抱えています。一方マイクロリアクターは、数mmの細い流路を送液しながら反応を行うことができるため、効率的に光を利用することが可能になります。

本研究ではマイクロリアクターを用いた、ニトロベンゼンの光還元反応によるアニリン合成を検討しました。しかし予想外なことに、マイクロリアクターを用いるとアニリンではなく、縮合体のアゾキシベンゼンが高選択的に得られることがわかりました。さらに、溶液の流し方を変化させることで、また別の化合物の選択的合成が可能になることも明らかになりました。ケミカルタイムズでは、反応器選択的かつ送液条件によって化合物の選択性が変化するこの興味深い現象について掲載されています。