プラスチックは製造した直後から劣化が進行し、長期間の使用とともに性能や機能が低下してしまいます。本技術コラムではプラスチックの劣化について御紹介いたします。
プラスチックは軽量、安価かつ複雑な加工がしやすい材料です。この特徴を活用し、プラスチックを用いて様々な工業製品が製造されてきました。さらに、自動車製造においては、金属製のパーツを、プラスチック製のパーツへ換装する試みが行われています。これにより、自動車の車重を軽量化でき、燃費性能を高くすることが可能となります。
多くのプラスチック製品は、日光や蛍光灯にさらされ、時には高温多湿下、または荷重のかかる環境下で使用されています。新品のプラスチック製品は十分な性能を有しているため、一見丈夫で長持ちするように思われがちですが、実際にはこれらの様々な過酷な環境下で使用されることが多く、製品を構成している高分子には経年劣化が起こります。
本コラムへ掲載している写真を見ると、ボトルのキャップが割れていることが分かります。これはキャップを閉める荷重がプラスチックにかかり続け、時間経過と共に歪みが増大し割れが生じたと考えられます。また、継続的にかかる荷重により、プラスチックを構成する分子間に隙間が生じ、この隙間へボトルの内容物由来の成分が作用しプラスチックの分解が促進された結果、割れが発生したとも推察できます。
このようなトラブルが起こらないようにするために、プラスチック製品の製品設計を行う際は、実使用環境条件下において目標としている機械的性質・化学的性質を有するかどうか検討を行う必要があります。
工業技術センターの刊行物であるTECHNORIDGEに、プラスチック製品の破損についてまとめたものがあります(技術情報誌 TECHNORIDGE 285号、289号、313号)。プラスチック製品の破損について御理解いただく資料として御利用いただければ幸いです。
R.Y
カテゴリ:コーヒーブレイク | 2020年04月01日